《判例》

東京地方裁判所判決・平成26年(ワ)第13914号
【判決日付】 平成28年8月22日
【判示事項】 原告A及び娘の原告Bは,Aの息子である被告Cに対し,AらとCが共有する土地・建物につき,その持分を取得する形での代償分割の方法による共有物分割を求めた。裁判所は,本件請求には,AとC及びその家族とはそりが合わない程度の理由しかないし,また,AらがCに対し代償金を支払う資力を有するとも容認し難く,その目的は,Cに建物の明渡し及び転居義務を強制的に負わせながらAらが建物に居住することにあり,権利濫用に当たるとして,請求を棄却した。

 

東京高等裁判所判決・平成26年(ネ)第2614号
【判決日付】 平成26年8月21日
【判示事項】 夫婦の共有名義の自宅建物について,別居した夫が妻に対し,夫の単独所有とすること及び価格賠償金の支払と引換えに持分全部移転登記手続及び建物明渡しによる共有物分割を求めた。同請求は,権利の濫用に当たって許されないとして,原審の請求棄却判決を維持した事例。

 

福岡高等裁判所判決・平成18年(ネ)第84号
【判決日付】 平成19年1月25日
【判示事項】 共有者らの所有に係る隣接地から公道へ至るための共用通路というべき土地が共有物分割請求の対象土地の場合,そのような性格や効用が失われたといえるような特段の事情が認められない限り,同請求は権利の濫用として許されないとした事例。

 

東京地方裁判所判決・平成17年(ワ)第6195号
【判決日付】 平成17年10月28日
【判示事項】 離婚訴訟が係属中の夫婦共有の不動産の共有物分割請求について,このような夫婦共同生活の基礎となるべき財産については,離婚訴訟の中で他の事情と総合して行き着くところを定めるのが合理的で,とりわけ不動産の共有関係の解消を先行させなければならない理由はないとして請求を棄却した事例。

 

最高裁判所第2小法廷判決・平成7年(オ)第1684号
【判決日付】 平成10年2月27日
【判示事項】 全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく競売による分割をすべきものとした原審の判断に違法があるとされた事例
【判決要旨】 共有不動産の分割をする場合において,共有者の1人であるAが今後も同不動産に住み続けることを希望しており,また,合わせて6分の1の持分を有するにすぎないB及びCが競売による分割を求めているのに対し,A及び他の共有者は,同不動産を競売に付することなく,自らこれを取得するいわゆる全面的価格賠償の方法による分割を提案しているならば,同不動産をAらに取得させるのが相当でないということはできず,Aらの支払能力によっては,同不動産の適正な評価額に従ってB及びCにその持分の対価を取得させることとすれば共有者間の実質的公平を害しないにもかかわらず,全面的価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく,直ちに競売による分割をすべきものであるとした原審の判断には違法がある(補足意見あり)。

 

東京地方裁判所判決・平成6年(ワ)第23233号,平成7年(ワ)第9093号
【判決日付】 平成8年7月29日
【判示事項】 子が実母に対して不動産の共有物分割請求を求めることが権利の濫用に当たり許されないとした事例。

 

東京地方裁判所判決・平成2年(ワ)第6597号
【判決日付】 平成3年8月9日
【判示事項】 不動産の共有物分割請求が権利の濫用に当たり許されないとした事例
【判決要旨】 共有者らの父又は共有者の夫の遺産である不動産が共有物分割請求の対象である場合,遺産分割協議によって共有持分が決められたものであり,その際,共有者の1人である妻が本件不動産において余生をおくることを当然の前提として同人の持分割合を法定相続分よりも殊更少なくしたものであることや本件不動産の現物分割は不可能であり,競売による分割を実施するとすれば,同人が住むべき家を失うことになりかねない等判示のような諸事情のもとでは,共有者の共有物分割請求は,権利の濫用に当たり許されない。