共有不動産に抵当権がつけられている場合も共有物分割請求で処理可能

(1) 共有物全体に抵当権がつけられている場合

 父が事業をしていて,融資を受ける際に事業用地全体に抵当権を設定していた。その父が死亡して,2人の子A,Bが,融資金債務(8,000万円)の返還,事業用地(時価1億円)を相続した。

 AとBは,事業を承継した関係で,工場用地をAとBの共有状態にした。

 あるとき,Bが事業から手を引くことになったので,AにBの持分を買い取ってもらうことになった。

 その場合,Bとしては,土地価格1億円の半分の5,000万円をAに負担してもらい,4,000万円を融資金の返済に充て,1,000万円を手元に欲しいと希望します。

 Bとしては,持分をそのままにして,土地価格が下落したり,債務が1億円を今後増えれば,今であれば確保できる1,000万円の余剰がなくなります。そうならないために,早く共有物を買い取ってもらいたいと希望するでしょう。

 しかし,Aとしては,5,000万円を用意できないかもしれません。そうなれば買い取りは難しくなります。

 そのようなときは,Bとしては,共有物分割請求を申し出て,本当にAが買い取れなければ,全体を競売することになります。

(2) 共有物の持分に抵当権がつけられている場合

 父が事業をしていて,事業用を所有していた。その父が死亡して,2人の子A,BのうちAが事業を承継した。その事業用地以外に目ぼしい資産がなかったので,事業用地は,A,Bの共有,A使用となった。

 Aは,銀行から融資を受けることになり,Aの持分に抵当権を設定した。

 Bは,使用もできない事業用土地を処分したいと考え,Aに買取るよう申し入れた。しかし,Aは資金が用意できなかった。

 そのようなときは,Bとしては,共有物分割請求を申し出て,本当にAが買い取れなければ,全体を競売することになります。

 Aの持分に抵当権が設定されていても,その土地の競売は可能で,銀行はAの持分売却金から融資金の返済をうけることになります。